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Kayoko Nemoto
Senior Staff Marketing Specialist
掲載: 2023年11月29日

産業オートメーション機器メーカーが今求めているのは、信頼性が高く、統合が容易なソリューションです。独立した閉じたシステムではなく、ファクトリオートメーションのデジタル化をサポートするスマートでネットワーク化された工場システムが望まれています。国際規格IEC 61131-9で規定されたIO-Linkは、フィールドレベルでのシームレスな通信を保証するポイントツーポイント通信プロトコルです。IO-Linkは、センサやアクチュエータをファクトリオートメーションのリモートI/Oやプログラマブルロジック・コントローラ(PLC)に接続します。産業用IoTが普及するにつれ、センサやアクチュエータからのビッグデータを一元管理できる、このIO-Linkの需要が伸びています。(図1参照)

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IO-Linkシステムのコンポーネント
図1  IO-Linkシステムのコンポーネント

IO-Linkは、産業オートメーションのセンサとアクチュエータ間の双方向通信のために幅広く採用されている通信プロトコルです。センサやアクチュエータなどの「デバイス」機器はPLCなどの「マスタ」機器にIO-Linkを使って通信します。この「デバイス」「マスタ」間の接続は最長20m の3線ケーブルで行われます。通常、IO-Linkマスタはデジタルとアナログの両方のデータ処理ができ、Profinet、Ethernet/IP、Modbusなどさまざまなプロトコルを使用し上位システムと通信を行います。石油・ガス、エネルギー・電力、自動車、製薬、食品・飲料、化学など多様な産業界が、工作機械、ハンドリング&組立オートメーション、イントラロジスティクス、パッケージングなどのアプリケーションでIO-Linkを活用されています。

この市場をリードするルネサスは、下記に挙げるようなIO-Linkおよび関連ソリューションのための包括的なハードウェアおよびソフトウェアソリューションを提供しています。

IO-Linkマスタソリューション

IO-Linkプロトコルの使いやすいゲートウェイ開発キット

最大8個のIO-Linkセンサまたはアクチュエータに接続し、Arm® Cortex®-A7マイクロプロセッサで制御された産業用イーサネット通信に対応しています(図2参照)。

  • IO-Linkハードウェアフレームハンドラ内蔵のCCE4510 IO-LinkマスタPHYが、アプリケーションの性能を大幅に向上
  • 温度や供給電圧の監視と保護
  • チャネルと接続デバイスの過負荷保護
  • 最大8ポートのIO-Linkマスタアプリケーションに最適
  • オプションのセキュアブート機能
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IO-Link Master Solution
図2 IO-Linkマスタソリューション

RX23E-A IO-Link温度センサソリューション

温度センサソリューション用IO-Link双方向通信

このシングルチップソリューションは、温度、プロセスセンシング、および信号を計測する高精度アナログ・フロント・エンド(AFE)を内蔵しています。(図3参照)

  • 信号処理用オンチップ高精度アナログ・フロント・エンド(AFE)、またIO-Link PHYを介した通信制御を1チップに搭載したRX23E-A 32ビットMCUを使用した、温度制御ソリューションのIO-Link
  • アプリケーションノート、プロトコルスタック付きサンプルプログラム、BOM、回路図を提供し、開発初期の時間短縮に貢献
  • IO-LinkマスタとしてRZ/N1Sを提供し、IO-Linkマスタ/デバイスPHYのラインアップを拡張可能
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Industrial Sensor Network Solution
図3 産業用センサネットワークソリューション

RA2E1 IO-Link圧力センサソリューション

圧力センサアプリーケーションの小型化を実現する超小型RA2E1

狭いスペースでも実装可能なコンパクトなソリューションを実現し、BOMコストの削減とシステムの小型化に貢献します。(図4参照)

  • RA2E1は超小型パッケージ(LQFP、QFN、BGA、LGA、CSP)に対応
  • ZSSC3240は最大24ビットのA/Dコンバータ分解能とデバイスPHYにより、高精度なセンサ補正を実現:CCE4503 IO-Link準拠トランシーバ、LDO内蔵(最大20mA), ZIOL2401 IO-Linkラインドライバ、降圧レギュレータ内蔵(最大50mA)(図3参照)
  • 周辺機器への電源IC供給
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IO-Link Slave Sensor Solution
図4  IO-Linkセンサソリューション

RL78 IO-Link対応センサシステム

シンプルな通信機能、低消費電力操作、計測に特化したソリューション

産業オートメーションでセンサとアクチュエータの接続に使用されるのがIO-Linkです。産業用センシングアプリケーションでは、IO-Link対応のルネサスRL78マイクロコントローラを使用できます。(図5参照)

  • IO-Linkデバイス通信用のUARTおよびSPIハードウェアインタフェースにより、センサ、アクチュエータ、IO-Linkデバイスを産業オートメーションシステムにシームレスに統合
  • 柔軟でスケーラブルなオプションを提供し、産業用センシングの要件に適したMCUを選択可能
  • 低消費電力のため、エネルギー効率の高い産業用アプリケーションに最適
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IO-Link Enabled Sensor System
図5 IO-Link対応センサシステム

産業用ネットワークは、EtherCAT、Profinet、Ethernet/IP、CC-Link IE、Modbus-TCP、OPC-UA、そしてProfibus、Modbus RTU/ASCII、DeviceNet、CANopen、IO-Linkなどのフィールドバスといった産業用イーサネットをカバーした、幅広いテクノロジーを含む非常に多彩な領域です。このダイナミックな分野はまだまだ進化し、これからの産業界をより興味深く面白いものへと変貌させていくでしょう。

産業オートメーションで今一番必要とされているのは、機器のデータ収集、遠隔管理、定期メンテナンスです。データ通信方法としては、一方通行の直接通信で上位の機器に送信する方法が一般的ですが、これは設置する機器の数を増やさせ、カバーエリアが広いと既存の配線に新たな通信プロトコルを導入するコストが増大します。そこで、この分野のマーケットリーダーであるルネサスでは、MCU、IO-Link PHY、その他の関連コンポーネントなどのハードウェアと、使いやすいIO-Linkデバイスツールを含む包括的なソリューションをご用意しておりますので、お客様の市場投入までの時間を短縮します。

詳細については、ファクトリオートメーション産業用Ethernet & FieldbusIO-Link デバイスアプリケーションをぜひご覧ください。

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